令和4年SMI雑感

5月 『勇将の下に弱卒なし』
4月 リーダーの真摯さは人事に現れる
3月 世界一の宰相メルケルの”真摯さ”
2月 プーチン大統領と『マネジメント』
1月 レジリエンスに生きる


令和3年SMI雑感
トップページへ

《令和4年5月》

    『勇将の下に弱卒無し』

 SMIビジネス塾で3年続けて学んでいるドラッカーは、軍隊の戦略や歴史にも詳しい。時々マネジメントの説明に軍事作戦の話も出てくる。確かにリーダーシップやマネジメントの重要性を考える上で軍隊の例はわかりやすい。

■ポンコツの集まりを最強の軍隊に

 過日、講談社の「現代ビジネス」のサイトで、“伝説の自衛官”といわれた伊藤祐靖氏とジャーナリストの島地勝彦氏の対談を読んだ。その中の伊藤氏のアメリカ軍の話は我が意を得たりだった。

(伊藤)アメリカ軍だけでなく、残念ながら日本でもその傾向はあるんですが、ああいう組織(アメリカ海兵隊)に入ってくるのは、ほとんどが、その国の最低の奴らです。身体能力はない、頭は悪い、根性もない、すぐ泣く、痛がり、すぐお腹がすく、そういうパターンが多いというのは、残念ながらありますね。
 各国も似たり寄ったりですが、なかでも“米兵”は大したことない。だけど、“米軍”となると話は別で、やっぱり世界最強だと思います。そんな彼らを、集団としてシステマテックに動かせるところが素晴らしいんです。
(島地)それはつまり、上に立つ指導者が優れていると言うことですか?
(伊藤)そう思います。そういうシステムを作りあげる能力に長けています。軍隊だけでなくアメリカの会社組織、政治、国の仕組みにしても、システムが良くできていると私は思います。移民国家として誕生して、たかだか230年しか経っていないのに、世界の中でこれだけの地位にいるというのは、ガラクタを集めてきて、それなりの力を発揮するシステム作りが上手いんだと確信しています。

■アメリカで最もパワハラが少ない組織は?

 上記の質問に、皆さんはどんな会社や団体が頭に浮かびますか?実は今、アメリカでパワハラが最も少ない組織はアメリカ軍だと言われています。
 現在のアメリカ軍は、パワハラ的なことは絶対許されないといわれています。そうしたアメリカ軍の中にあって、米陸軍の取り組みは強烈で世界のあらゆる組織の中でもっとも厳しくパワハラ防止に取り組んでいるといわれている。
 2011年に参謀総長に就任したオディエル大将の就任最初のスピーチは「我々は有害なリーダーは容認しない」というパワハラ防止宣言でした。そしてこの言葉の意味を参謀総長は「軍のリーダーというのは、部下の命を奪うかもしれない命令を下さなければいけない立場です。しかるに、部下をいじめるリーダーにその資格があるのか。部下をいじめたり、部下を侮辱するリーダーに、部下の命を奪うかもしれない命令を出す資格はない、という考えです。だから、命令を出せない立場に降格させられたのです」と言っている。(※加藤貴之著「上司が萎縮しないパワハラ対策」より)

■パワハラが起きる軍隊では、国家を防衛できない

 どうしてアメリカ軍はパワハラ防止に力を入れるのでしょうか?そのきっかけはアフガン戦争と言われている。
 「2001年のアフガン戦争で、アフガンから陸軍省に戦場の報告が上がりました。働きの悪い兵士がいて、調べてみると、上官に問題がある場合が多いという報告がいくつも上がりました。事態を重く見たトーマス・ホワイト陸軍長官が、陸軍の最高学府とされる陸軍戦略大学に研究を命じました。その結果が出てきて陸軍幹部は衝撃を受けました。
 データ分析の結果、生死を分ける場面では、パワハラ的なリーダーには部下はついていかない可能性が高いことが明らかになったのです。生死を分ける場面というのは戦争の根幹を成す場面です。」(※加藤貴之著「上司が萎縮しないパワハラ対策」より)
 こうした分析・経験によって米軍はマネジメントを洗練させていき、どんな“ポンコツ”が集まってきても、世界最強の軍隊にしてしまうといわれています。

■「勇将の下に弱卒なし」

 上記の故事は、駄目な人間の集まりも、力量があり勇気ある強い将軍の配下には弱い兵士はいなくなる、という意味だ。まさに現在のアメリカ軍はその良きモデルだ。それは真摯さをもったリーダーが、洗練されたマネジメントを実践するときにどんな組織であれ最大のパフォーマンスが発揮できる組織に変わっていくという証明でもある。また、今、戦いの当初はウクライナ軍は圧倒的に不利と目されたロシア軍との戦いに於いて、対等以上の戦果を上げている。それはウクライナのチャーチルとも言われるようになった大統領によるところが大きい。

 SMIDPMプログラムに、アメリカの思想家ヘンリー・サーローの言葉、「組織とは一人の人間の長い影である」とある。私もSMIビジネスを通して、多くの組織でその言葉の正しさを見させていただいた。
 今年のわが社のモットーは、「洗練されたマネジメントを多くの組織に提供し、社会の発展に寄与することを我社の使命とする」とした。私は今、SMIビジネスを通して多くのクライアントとの成長と成果を見させていただき、SMIのマネジメントプログラムを社会に提供することの喜びと誇りを感じさせてもらっている。 SMI小杉(2022/5/31)

《令和4年4月》

リーダーの“真摯さ”は人事に現れる


 北海道の知床の海で大惨事が起きた。未だに12名の方が見つからないという混乱状態にある。早く発見されることを願い、亡くなりになられた方のご冥福をお祈りさせて頂ます。
 
「安全」に関する本で『安全と良心−究極のリーダーシップ』(※竹田正興著)とう本がある。組織の安全論はもちろん、リーダーシップ論としても素晴らしい本で、名著と思う本だ。
 その本で「リーダーシップの反対はカオスである」という言葉に出会った。私に多くの気づきを与えてくれた言葉だ。重大事故の多くは、組織がカオスの状態に陥っている時に起きることが多い。そしてその組織の業績は芳しくないことが多いものだ。
 わが社の取引先は建設関係も多く、安全と深くかかわっている会社が多い。しかし、皆コロナ下にあっても業績を伸ばしており、しっかりとマネジメントが機能している。今回事故を起こした会社の状態が伝わってくるにつけ、
「リーダーシップの反対はカオスである」という言葉そのままだなと思ってしまう。

■安全の仕組みはリーダーの“真摯さ”によってつくられる

コンプライアンスが叫ばれる時代にあって、単なる形だけを整えることに捉われ、多くの会社で仏(仕組みやルール)をつくって魂(心構え)入れずの状態に陥っているように思われる。

 上記の『安全と良心- 究極のリーダーシップ』で、責任ある立場で多くの安全に関わる業務をこなされてきた著者の竹田正興氏は、「リーダーシップの最も重要な点は組織(部下)を成功に導き、その根底に“利他の心”を持つことである。優れたリーダーの“強固な良心”によって組織の健全な文化が形成され、致命的な大失敗などしない安全でレベルの高い組織や国家の発展が可能となる」と書いておられる。

 今年の2月、村上の工場での大火災で、6名の死者を出した県内大手の製菓会社にあっても、知床の事故を起こした会社と同じものを感じてしまう。その後に伝わってくる情報から、本社工場や他の工場にあってもボヤや事故が多発していたことが明らかになってきた。正にこの会社もリーダーシップとマネジメントが機能していないカオス状態にある。事故後3ヶ月経つ今も、多くの問い合わせがあるにもかかわらず、記者会見を一度も開かないことを見ても、そこにリーダーの真摯(良心)の欠如を感じる。

■リーダーの“真摯さ”は人事に現れる

 事故の原因の85%は「人でなく組織にある」と言われる。1950年代、リーダーシップ論を展開したアメリカのP・スコルテという学者は
「品質の問題の少なくとも95%は組織要因に起因する。人為エラーは5%以下に過ぎない。ヒューマンエラーは我々の無視できる程度の問題源に過ぎない。そしてほとんどのヒューマンエラーは組織に要因がある」と説いた。多くの研究者が同じ結論に達している。

 知床の事故を起こした会社は、優秀な船長やベテラン社員を2年前に解雇していた。そのような組織に対しての社長の真摯さを欠いた人事が今回の事故に繋がったという指摘も多い。これは明らかに安全より利益を優先した人事だ。ドラッカーは
「リーダーの真摯さは人事に現れる」という。そうした意味において、この会社の社長には全く真摯さが見られず、人命を直接扱う会社だというのに、組織の形さえなかったのではないかと思えてくる。当然そこにマネジメントは無い。

 ロシア軍の秩序の無さとおぞましさ、新潟の大手菓子メーカーの不誠実さ、知床遊覧船のお粗末な組織・・・どれもマネジメントが機能しない状況にあることを如実に示している。そうした中で、改めてドラッカーの言ったマネジメントの目的を思い出す。

「次の100年を作れるかどうかはマネジメントにかかっている。また、一人の暴君の思うままに人間が蹂躙されるような社会にならず、人間が人間らしく暮らせる社会になるかならないかは、マネジメントにかかっている」


 我社もSMIのマネジメントプログラムを扱ってきた。そのプログラムを活用し多くの会社が劇的に変化し成果を上げられた。そして地域に良き影響を及ばした会社も多々ある。そうした意味でも、健全なマネジメントを社会に普及することはやり甲斐のあることと感じる。改めて、SMIのモティベーターとしてそのチャンスにあることに感謝し、健全なマネジメントを社会に提供することによって社会の発展に寄与していこうと決意を新たにした。 SMI小杉 2022/4/28

《令和4年4月》

世界一の宰相メルケルの“真摯さ

 今、私は社会でで起きるあらゆる事をマネジメントから見るようになった。マネジメントの父ドラッカーは、『マネジメントは人類が営々と築いてきた叡智』と説いた。
 先日ドイツの前首相メルケルの本を読んだ。プーチン大統領と渡り合い、プーチンの野望の重石となっていたのはメルケルだった。その重しがとれてしまったことが、今回のロシア軍のウクライナ侵攻に繋がったという指摘も多い。

■善きリーダーの絶対条件は“真摯さ” P・ドラッカー

 組織を支える土台はその組織に関わる人の信頼関係だ。それはリーダーの真摯さによってもたらされることが多い。ドラッカーは、マネジメントが機能する絶対の条件としてリーダーの“真摯さ”という。

【成功している組織には、あえて人を助けようとせず、、人付き合いも良くない上司が必ずいる。愛想が悪くいつも不愉快そうでありながら、誰よりも多くの人たちを教育し育成する人、最も好かれている人よりも尊敬を得ている人がいる。
 その様な人は、高い目標を掲げ、その実現を求める。誰がどう思うかなど気にしない。何が正しいかを考える。この真摯さという資質に欠ける者は、いかに有能であろうと組織にとっては危険な存在である。真摯さに欠ける者が跋扈するとき、組織は死への道をたどる。】(※ドラッカー著「マネジメント」より)

 メルケルは、真摯さの無い政治家(プーチンやトランプ)が跋扈する世界にあって、逆に真摯さと知性をもってマネジメントした。それは東ドイツで牧師の娘として育ったことも影響している。メルケルの政治姿勢は、上記のドラッカーの「嫌われるが尊敬を集めるリーダー」と重なる。

【メルケルが内容重視の飾り気のない演説にこだわるのは、雄弁に語りかける才能に欠ているからというだけではない。ヒトラーの激しい言葉は、今でも多くのドイツ人の記憶にはっきりと刻まれているのだ。これまでの経験から、メルケルは言葉を盲信せず、慎重に配備すべき武器のようなものと見なしている。リベラルな欧米先進国で民衆を扇動する言葉が飛び交う中、地味ではあるが賢い守護者であろうとしている。
】(※「メルケル−世界一の宰相」より)

 プーチン大統領が長く属していたソ連の秘密警察(KGB)では,社会に”不信と混乱”を起こすことを仕込まれる。そうした組織で育った真摯さのないリーダーの下で、健全なマネジメントが機能することはまずあり得ない。ウクライナの戦争でも、ロシア軍が予想より“弱いのでは“と言われるようになった。ロシア軍にマネジメントが機能していないことを感じる。軍事戦略や戦術にも詳しかったドラッカーもきっと同じことを言っただろうと、私は思っている。

■コロナとの戦いで発揮された“真摯さ“という力

 ドラッカーはマネジメントの目的は三つあるという。@その組織特有の目的を果たすこと、A組織を生産的にし働く人を活かすこと、B事業を通じて社会の問題解決に貢献すること。正にメルケルは15年間、ドイツ政府としての三つの目的を果たすために権力を使い、国をマネジメントした。その好例が、2020年のコロナ対応だった。そしてそれは国民に向けた2020年の3月18日の演説から始まった。

「事態は深刻です。この問題を重く受け止めてください。」メルケルは滅多に使わない強い口調で何度も繰り返した。そしてドイツ人はその言葉を信じた。なぜなら、これまでの15年間でメルケルに嘘をつかれたことは一度もないからだ。・・・事実を粉飾することはなく、事実をでっち上げたことは無い。信頼の積み重ねが、今になって人々の命を救った。

「私達は民主主義国家です。制約に縛られて生きるのではなく、知識や情報を共有し、政治に参加することによって生きていくのです。ロックダウンを実施します。社交的活動は中止です。自宅勤務になります。学校にも居酒屋にもサッカーの試合にも行けません。一番つらいことは、人に会えなくなることです。しかし、距離を保つことが相手への思いやりを示すことになります。・・・犠牲者の数がどれほど増えるのか、愛する人たちを何人失うのか、それは主に我々の行動にかかっています。」メルケルはこの演説を通して、国民に科学的知識と思いやりを届けたのである。それも、賃貸マンションにある自宅の一室から全国民に語りかけたのだ。】(※「メルケル−世界一の宰相」より)

 メルケルは中国で新型の感染症が発生したという段階で、素早くスペイン風邪等の感染症のことを徹底的に学んだ。そして専門家から情報を得ながら、今後どのような状況になっていくかを予想し、マネジメントをとっていった。その結果、各国のリーダーがコロナ対応に苦慮し、支持率を落とす中、ドイツは1日5万人の検査を行い、ドイツの死者数はフランスの3分の1で済んだ。医療崩壊にもドイツは陥らなかった。メルケルの国民の支持は80%に上がった。
 メルケルは政府の目的と責任を果たすことに集中する。良き準備と並はずれた集中力がメルケルのマネジメントを支えていた。

 ロシアのウクライナ侵攻を、マネジメントから見ていくと、より俯瞰して見ることができ、問題の本質が理解できるようになる。そしてロシアの情報が伝わるにつけ、マネジメントが機能しない専制的な組織は必ず行き詰まり、体制の転換をせざるを得なくなると確信している。(SMI 小杉)2022/3/30

《令和4年2月》

 プーチン大統領と『マネジメント』

 去る2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻した。このままいくと、多くの難民と多数の死者が予想される。このニュースに触れ、マネジメントの父ドラッカーが指摘していたことが、正にその通りにロシアで起きていたと感じた。

■組織が機能しない社会は、必ず独裁国家を生むことになる

 ドラッカーが繰り返し言っていたことは「社会を構成する組織のマネジメントが適切にきちんと行われないと、それは必ず専制国家・全体主義になる」ということだった。

  名著「マネジメント」の序には、《組織の効率的経営のため》と書かず、それ以上に重要なことは、組織の適切な経営を通して機能する社会を維持発展することを目的として、この本はある、と書いている。

その[序]を多くのリーダーに、読み考えて頂きたくそのまま掲載させて頂きます。

『われわれの社会は、信じられないほど短い間に組織社会になった。しかも多元的な社会になった。財サービスの生産、医療、年金、福祉、教育、科学、環境にいたるまで、主な問題は、個人と家族ではなく組織の手にゆだねられた。この変化に気づいたとき、『くたぱれ組織』との声があがったのも無理はない。だが、この反応は間違っていた。なぜなら、自立した存在として機能し成果をあげる組織に代わるものは、自由ではなく専制だからである。

社会には、組織が供給する財とサービスなしにやっていく意思も能力もない。しかも、組織の破壊者たる現代のラッダイト(産業革命時の機械破壊運動者)のなかで、最も組織を必要としているのは、声の大きな高学歴の若者である。知識を通じて生活の資を稼ぎ、成果をあげて社会に貢献する機会が豊富に存在するのは組織だけだからである。

 組織が成果をあげられないならば、個人もありえず、自己実現を可能とする社会もありえない。自立を許さない全体主義が押しつけられる。自由どころか民主主義も不可能となり、スターリン主義だけとなる。自立した組織に代わるものは、全体主義による独裁である。全体主義は競争を許さず絶対のボスを据える。責任を与えず恐怖によって支配する。組織を廃絶し、すべてを包含する官僚機構に吸収する。財とサービスの生産は、苦役として、強制的、恣意的、かつ不経済に行われ、膨大なコストのもとに低迷するだけとなる。

したがって、自立した組織をして高度の成果をあげさせることが、自由と尊厳を守る唯一の方策である。その組織に成果をあげさせるものがマネジメントであり、マネジメントの力である。成果をあげる責任あるマネジメントこそ全体主義に変わるものであり、われわれを全体主義から守る唯一の手立てである。』ドラッカー著「マネジメント」より
 というように、30年前にソ連が崩壊し、ロシアとなり、その後の10年の混乱状態の中で、ロシアという国ではマネジメントが全く機能せず、欺瞞と、恐怖と、権力が跋扈する国となり、上記のドラッカーの言った通り専制独裁国家になった。

■「正しいことをやれ・・・、とにかく正しいことをやれ!」 

 このSMI雑感を書きながら、湾岸戦争で多国籍軍を率いた
H・ノーマン・シュワツコフのことを思い出した。シュワツコフ将軍は80万人の軍人を率いたが、ほとんど無傷で戦争を終わらせた。その後アメリカの大統領候補にもなった。しかし政治には興味を示さなかった。シュワツコフは1998年に、東京ベイNKホールで行われたSMI日本上陸30周年大会で記念スピーチをした。その時のスピーチは多くのリーダーに示唆と勇気を与えるものだった。そしてそのスピーチの最後にシュワツコフはいった。

「・・・
しかし、以下の2点のことを理解し、実践できたなら、今まで話した全てのことを忘れても構わない。

1、正しいことをやれ!誰かのウケのためでなく、とにかく正しいことをやれ!

2、リーダーとなったなら、率先して事に当たり、そして責任をとれ!

 この「正しいこと」とは、当然法的にも倫理的にもということだ。そして最後の言葉はリーダーの『責任』だった。そして上記のドラッカーの文章の最後も成果をあげる責任あるマネジメントこそ全体主義に変わるものであり、われわれを全体主義から守る唯一の手立てである』と「責任」を説いている。

 プーチン大統領率いるロシアは、世界に対しそして未来の人々に対しても大きな責任を負ってしまった。しかし、それも絶対に未来永劫果たしえないであろう責任を。

 次回3月のSMI雑感は、今月の続きとしてドラッカーのいった“リーダーの絶対条件は真摯さだ“を考えます。 (SMI 小杉) 2022/2/28


令和4年1月

   レジリエンスに生きる

 新しい年を迎え半月が過ぎた。オミクロン株の感染が急激に増え、社会は混乱状態にある。しかし、今年は間違いなくコロナは収まる方向へ向かい、経済も回復し社会活動も以前の状態に戻っていくと予想する人も多くなってきた。
 上記のような予想をするタイプの人を楽天家という。そして今、心理学の世界で注目されている「レジリエンスのある人」(※回復力を持った人)となる。
 この「レジリエンスの人」とは、“しなやかに生きる人”という言葉が一番当てはまるようだ。私の今年の目標は、レジリエンスを身につけ「しなやかに生きる」だ。

■合気道はレジリエンス?

 先日、モーニング・アカデミーの問い合わせを頂き、申し込みしてくださったH社長にお会いした。
 H社長は食品の卸の会社を経営している。そして空手と合気道で、長年ご自分を鍛錬しておられる。空手は茶帯でもうすぐ初段、そして合気道は初段で師範代となり、指導もしておられる。そして「空手もいいですが、今は合気道ですね」と言われた。合気道においては40Kgの体重の女性が100Kgの巨漢を投げ飛ばしてしまうという。tyu
 そうした話を聞きながら、合気道は柔術の中のレジリエンスだなと思った。100Kgの巨漢に真っ向勝負ではかなわない。相手の力を利用し、しなやかな対応する中で生まれてくる力だろう。

■レジリエンスの6つの要素


 レジリエンスとは、もともと、物体に力が加わって変形しても、いったんストレスを受けても、精神的健康を維持し回復に導く、しなやかな心理的特性のことを示す。
@肯定的な未来志向(楽観性):「ストレスフルな状況はいつまでも続くわけでもなく、未来は今より良くなる」、ストレスフルな状況においても、精神的健康を維持することができる。
A感情の調整能力、忍耐力:ストレッサーとなる刺激が加わったり、困難な課題に取り組んでいたりする場合、感情をコントロールできることが、課題を持続して安定して行うことに繋がる。状況を少し長い目で見て些細なことに一喜一憂しないことである。
B自己効力観と自尊感情:努力すれば何とかなるという感覚、そして自分の能力を過小評価しないという自尊感情が健康に保たれている状態である。
C興味関心の多様性、冗長性:1つの事柄や対象に固執するのではなく、興味関心が多様であり、多くの領域を楽しめることである。逆に言えば、特定のことばかりに固執し、気晴らしや楽しみをもてない場合は、レジリエンスが低い状態である。
D柔軟性のある認知、ユーモア:状況を一面的に見るのではなく、多様な観点から眺めてみることができる。こうした柔軟性は、ユーモアとかかわってくる。ユーモアは、ある出来事を、そのことから距離を取ってみることになる。
E他者との繋がり、サポート資源:他者とのコミュニケーションを行い肯定的な関係を保っていける能力が、レジリエンスと関連している。

■しなやかに生きる
 
 SMIプログラムには、レジリエンスの6つの要素は網羅されている。私は、中でも「逆境を活用し、逆境に感謝する」という考え方に、SMIイズムのしなやかさを感じている。

あなたは逆境に感謝しても良いのです。何故かというと逆境の一つひとつは同じくらいの、あるいはもっと大きな恩恵を生み出す種だからです。・・・何故あなたが逆境に感謝するかについて、少なくとも5つの理由を書き出してみてください。・・・あなたのリストには次のような項目が並ぶかも知れません。

@
私は、現在持っている知識や経験のなかった5年前に、この障害に出会わなかったことに感謝する
Aこの障害が取り返しの付かない損害を与える前に発見できたことに感謝する
B私は、仕事をする仲間と、信頼と尊敬の関係を築いてきて、その人達に助言と助力を求めることができることに感謝する
Cこの逆境を処理していくことが、新しい価値ある知識や知恵を得られることに感謝する。  
D私がこの逆境を克服することで、私自身にまた周囲の人々に、私の潜在能力を証明できることに感謝する。
 
 逆境にどう反応するかは、あなたが自由に決めることができます。逆境に打ちのめされるがままに任せることもできます。また、あなたはこの逆境を、これまでに使ったことのない潜在能力を働かせるチャンスだと見ることもできるのです」(※PSPプログラム第2部レッスン10より)とある。

 コロナ禍、第6波の爆発的な感染拡大の中にあって、こうした考えに触れていると「コロナ」さえ、自分を成長させる絶好のチャンスに思えてくるから不思議である。
 レジリエンスを学びながら、2022年を感謝の心で、しなやかに生きていこうと新たな気持ちにさせてもらった。 (SMI 小杉)2022/1/18